フラワーデイズ
少しのご馳走をテーブルに並べて、私たちは席に着いた。

時刻はもう少しで7時を告げる。

「さぁ、食べよっか」

葵の機嫌はまだ直っていないようだ。

明日には直ってるかもしれないけど、誕生日の今日、機嫌が良くならないと意味がない。

5才の誕生日が最悪な日として、葵の記憶に残ってしまう。

「ちょっと待って」

パパが突然、食事にストップをかける。

もう箸を持ってしまっているのに。

「パパ、どうしたの?」

「もう少し。たぶんもうすぐ来ると思うんだけど」

…来る?

…誰が?

私がパパの言葉に首をかしげた、その時だった。

ピンポーン♪と玄関のチャイムが鳴った。

その音を聞いて、パパがニヤける。

「葵、お客さんが来たみたいだから出てくれないか」

「イヤ。パパが行って」

「パパ急に足がしびれちゃったんだ。頼むよ、葵」

葵は嫌そうな顔をしながらも、しぶしぶ玄関に向かって行った。
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