フラワーデイズ
葵が玄関に行ったのを見て、私はパパに聞いた。

「ねぇ?どうして葵に行かせたの?っていうか、プレゼントはちゃんと用意できてるの?」

「心配するな。大丈夫だ」

私にはパパが何を考えているのかサッパリ分からなかった。

すると、突然、玄関の方から葵の大声が聞こえてきた。

「ミツバチ君!」

何事かと思って私は玄関まで走った。

「ぶはっ!!」

思わず吹き出た笑い。

葵の表情には笑顔が戻っていた。

「葵、誕生日おめでとう!」

「うわ~!ミツバチ君だ!」

「ちょ、ちょっと…何その格好…」

私はこみ上げてくる笑いに絶えられずに、体を震わせる。

お客さんは貴之だった。

しかも、ただの貴之ではない。

「貴之おじさん、ミツバチ君みたい!」

すっかり元気を取り戻した葵の声を聞いて、私の心に安堵感が広がる。

でも、やっぱり、それよりも笑いの嵐が…

「アハハッ!!貴之、何でミツバチ君の格好してるのよ!!」

玄関に姿を現した貴之は、ミツバチ君の衣装(大人バージョン)を着ていたのだ。

その格好が妙に似合ってみえるのが不思議だ。

年齢29で、身長175cmのミツバチ君…可愛くない。


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