フラワーデイズ
葵の笑顔に私とパパはホッとして、顔を見合わせる。

葵は本当に嬉しそうに笑っていた。

もうそこには悲しさで涙を浮かべていた葵の姿はなかった。

大好きなミツバチ君の衣装。

今日この日は葵にとって最高の誕生日になってくれただろうか。

「葵、俺のミツバチ君姿どうだ?」

何杯もビールを飲んで、顔を真っ赤にして酔っ払った貴之が葵に聞く。

葵はパパの膝の上から下りると、今度は貴之の膝の上に乗った。

「あぁ!貴之てめぇ、俺の葵に何やってんだよ!」

葵を取られて怒りMAXなパパ。

貴之はベロンベロンの顔で、葵の頭をクシャクシャ撫でる。

その行為がパパの怒りを倍増させた。

「葵、貴之おじさん好き!」

「な…何言ってんだよ、葵!」

「ハハハッ!俺、5才の子に愛の告白されちゃったよ。お父さん」

「お前にお父さんと呼ばれる筋合いはねぇ!」

このやり取りを私と菜々子は呆れた表情で見ていた。

「男っていくつになっても子供なのね」

「そうね。誰が5才児なのか分からなくなるわ」

「快の親バカぶりも相当なものだけどね」

「…たしかに」


< 24 / 30 >

この作品をシェア

pagetop