フラワーデイズ
私はケーキを取り出してきて、テーブルの上に置いた。

真っ白にコーティングされた甘そうなケーキ。

チョコレートには

『あおいちゃん。おたんじょうび、おめでとう』

と書かれている。

「俺、チョコの部分いただき!」

「貴之!何でお前がメインを食べるんだよ!」

「もう!2人ともうるさい!」

葵に渇を入れられ、しょぼくれる大の大人2名。

本当にどっちが子供なのか分からなくなる。

葵の5才の誕生日はこうして、笑い声が耐えない状態で終わりを迎えた。

動物園の出来事があった時はどうしようかと本気で心配したけど、パパのおかげで葵にとって忘れられない誕生日になったと思う。

本当にパパには感謝してもしきれないよ。

貴之と菜々子が帰り、葵を寝かせる時間になった。

「葵、おやすみ」

「ねぇ、パパ」

「なんだ?」

次の瞬間、葵の唇がパパの唇へ…

衝撃の出来事に固まるパパ。

「葵…お前パパにチューするの嫌なんじゃ…」

「違うよ。嫌じゃないよ」

葵はニコッと笑って答えた。

「この前、貴之おじさんと遊んだ時に教えてもらったの」


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