フラワーデイズ
静かな空間で過ごす1人の睡眠タイム。

誰にも邪魔されずに眠れることに本当に感謝する。

昼寝の定番である屋上ではなく、ここ…音楽室に。

「遊樹!やっぱりここにいたのか!」

突然の大声に僕は目を覚ます。

ヒデが戸を開けて音楽室に入ってきた。

僕は寝転んでいた体を起こして、「どうしたの?」と尋ねた。

「まぁ、落ち着けって」

落ち着くのはヒデの方だろ?

僕はいたって落ち着いているさ。

ヒデはピアノの椅子を引き、そこに腰かけ、まるで怪談話でも始めるかのような口調で言い出した。

「さっき野球部の奴から面白い話を聞いたんだ」

「それ本当に面白いの?」

「少なくとも俺には最高の暇つぶしのネタに聞こえたけどな」

ヒデにとっては最高の暇つぶしのネタだったとしても、それに僕が同意する保障はどこにもない。

そもそもヒデが仕入れてくる話は99%くだらない。

基本的にヒデは精神年齢が実年齢に達していない気がする。

そういうところは、僕の兄さんの友達の貴之さんに似ている。

とにかく、今からヒデが言おうとしている話も、どうせいつも通りくだらないのだろうと僕は心の中で思っていた。
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