Can laugh sometime
ろくでなし
あたしの家は母子家庭。
あたしが物心ついた時に父親が愛人作って逃げて家庭崩壊って訳。
父親がいないぶん母と仲がいいって訳じゃなかった。
母は母で彼氏作ったり遊び行って、あたしもあたしで家飛び出して外ほっつき回ってた。
【ろくでなし】
ある日、母とそれはとてつもない大喧嘩をしてあたしは家を出た。
7年ほど家を出て…って家出っつーレベルじゃないけれど。
彼氏と同棲して結婚しよっか的な感じになってた時、突然母の彼氏から電話がきた。
母が亡くなった、と。
母とは親子でもなければ友達でもない「他人」に近い関係で。
葬式でも泣かなかったし特に思い出という思い出も無かった。
死因は過度のアルコール摂取によるものだった。
あたしが家を出てからアルコール中毒になったみたい。
7年も家に帰って無かったから知らなかった。
告別式も終わり唯一の血縁者であるあたしが実家の遺品を片付けなければならなくなった。
正直だるい。
血が繋がっていようと思い出もクソもなければ泣くにも泣けない。
いや、別に泣きたい訳じゃないんだけど。
ガサガサと派手な服の詰まったタンスやら色んなブランドの服が並んだクローゼットやらを整理していた。
だるいだるい、と言いながら一通り整理し終わって最後に母が昔から使っていた化粧台へ向かう。