【短編】じゃんけん王
『せ〜の〜』
『じゃ〜んけんっ』
[→]___
決定
(相手はの繰り返し)
ついに、勝者と敗者が決まった!
和紀は自分の目を疑うように、利き腕の造作を確かめていた!
大型モニターにつながるカメラが、手のアップから引きで二人を映し出した瞬間…怒涛のような歓声が静けさを貫いた!
(*ここでバイブを5秒間鳴らす)
(負けパターン)
和紀はすぐに状況を受け入れた。
何故か思った程の悔しさもなく、むしろ清々しい気分だった!
そして自分でも驚く程の、落ち着きを取り戻していた!
名司会者が老紳士の優勝を讃え、自分の事のように喜びを表現していた!
そして表彰式がすべて終わり、東京ドームの回転扉に押し出された時、夕焼けが長かった一日の終わりを告げていた。
FIN
(勝ちパターン)
老紳士はその歓声が何を示すものかをすぐに悟った!
そして又、老人の方から紳士的な握手を求めてきた!
和紀はその握手に両手で答えた。
老紳士の顔が、少しぼやけてみえずらくなっていた…
ついに優勝を勝ち取ったのだ!
和紀はその副賞や賞金よりも、この大勢の拍手に包まれて、今を感じていられる事が、1番の幸せに思えた!
表彰台でじゃんけんのを型取ったトロフィーを受け取った時、今日の対戦相手が走馬灯のように思い出された!
和紀は生まれて初めて、神様の存在を受け入れ、あらためて神様に感謝を表わした。
(*ここでバイブを10秒間鳴らす)
そして和紀の耳には、地響きが伝わってきそうな、100万人の拍手と歓声が、聞こえていた…
FIN