【短編】じゃんけん王
5回戦〜
5回戦
そして、約3万人まで絞られた時、和紀の快進撃の予感は少し現実味を帯びてきた!
今月の22日の日曜日、ついに東京ドームでの決勝大会進出が決まった。
和紀は胸の高鳴りを抑え切れなかった!
やはり無理繰りのイメトレとは違い、あの溢れでてくるようなイメージは本物の予感と確信した。
6回戦
(東京ドーム初戦、当日の早朝)
和紀は興奮状態のまま、目が覚めた。
しばらく天井を見上げ、ふとんの温もりを確認し、安堵の溜息をついた。
…夢の内容が鮮明に頭に残っていた!
そこは大詰めの準決勝戦、3万人強の観衆の目が、和紀ともう一人に注がれていた!
何度もあいこが続き、そして最後の勝負!
3万人の掛け声が一つに揃って叫んだ!
『じゃ〜んけ〜ん』
その瞬間、胸の動悸と共に目が覚めた!
(…これはきっと、吉夢に違いない…うん…)
和紀は、好スタートが切れそうな予感と、ゴールまでイメージ出来なかった不安を胸に、両足で布団を大きく蹴り上げ、勢いよくベッドから跳び起きた!