オトナな初恋
「私の事より…奈緒はどうするの?電話もメールもダメだなんて…」


『明日、直接逢いに行こうかと思ってる。』


「出張から戻ってきてるの?」


『ううん。戻ってくるのは来週って言ってた。だから出張先に行こうって思ってる。』


「でも…明日私達も仕事…」


『終わってから行くのよ。どうせ彼だって仕事で、逢えるのは、夜なんだし、
言葉で言っても伝わらないなら、…行動で示さなくちゃ、終わっちゃうかもしれないもの…
それだけは避けたいから。』


「そっか…滞在先とか、わかるの?」


『ビジネスホテルに片っ端から電話して、調べるわ。』


そう言って、笑う奈緒は、強いなって思った。


「きっと、逢えるよ。
奈緒の気持ちも、わかってくれるよ。」


『それでわからなかったら…一発ぶん殴ってやるんだから!』


「そ、それは、止めたほうが…」


『冗談よ。』



「あはっ。びっくりしたじゃん!」



それからご飯を食べ、店を出る頃には、二人とも笑って色々な話をしてた。
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