オトナな初恋
お店に着いてからも、さっきの上着からの香りの事が離れない。


『…おい。さっきからずっと、変だぞ?まだ具合悪いのか?』


ヤバイ!

「そんな事ないです。ごめんなさい…少し考え事してました…」


『どんな事?』



「どんなって…」

まさか聞かれるなんて思ってなかった…。何て言おう?


『…まぁ。いいか。
それより、街で買い物っていってたけど、荷物何もないな。何も買わなかったのか?』


「あ、はい。先週行ったばかりだったから、特に欲しいって物がなくって、結局、ぶらついてただけでした。」


『それで疲れて、車に酔ったのかもな。』

「…ですね…」


どうしよう…本当の事言う?
でも何て?
言わないで後悔しないでって言った、奈緒の言葉を思い出す。



「…拓海さんは?どんな用事だったんですか?」




一瞬、え?って焦った顔をしてた。
すぐにそんな表情消えたけど。



聞かなきゃよかったかなって…すこし思った。




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