オトナな初恋
顔を肩に埋めたまま首を横に振る。



「た、くみさんの…ヒック…スーツから…体から…ック…女物の…香水……匂いが…ック…それで…勝手に…思い込んじゃ…て…」



『…あいつ、香水売ってる店の、店員なんだ。
今日店に行く約束してて、そこで間違って、俺にあいつの香水、かかって…』







だから、拓海さんから、香水の匂いがしたんだ…
それなのに…



「…ごめ…なさッ…うぅッ」



『俺達、さっきから、謝ってばっかだな…、誤解だったんだし、俺が不安にさせたせいでもあるんだから、謝るのは、これで、終わりにしよう。』






前にもこんな事があった。傘を返した時。
私の恋が、始まった時…





『なんか前にもあったな。謝ってばかりだったって』

「!!」

覚えてたんだ。



肩に置いてた手を前に回して、ギュッと強く抱きしめた


ねぇ、拓海さん。
勝手に勘違いして、泣いてばかりで、ごめんね?




もう、疑わない。
何があっても、信じるから…キライにならないで?  ずっと、側にいてください…
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