オトナな初恋
『でも…どれも似たようなのばかりで…迷ってたら姉貴が、オリジナルで作ってやろうかって。大体の匂い決めて、その容器いっぱいの量が出来たら、連絡くれるって言ってたから。
姉貴と会ってたっていったら、お前、姉貴の歳とか仕事とか色々聞いてくるだろ?
なんか、ソレ渡すまで…知られたくなかったんだよ…』



私を驚かせたくて黙ってくれてた?


「あり…がとう。嬉しい!ありがとう拓海さん。」


『付けてみて?』


私は箱から取り出して蓋を開ける。
自分の胸元にシュッっと吹きかけた……はずだった。

なのに、なぜか私ではなく拓海さんの体の方へと霧状になった香水がかかる。



『おわッ!?あ〜忘れてた!この容器、なんか、噴き出し口逆向きなんだよ。それで、俺もかかっちまったの忘れてた。』


「そ、そうなの?」


よく見ないで押しちゃったから…


『もう1回付けてみて。』


でもなんか勿体なくて…
そんなに量入ってないし…

『亜希?』

覗き込んだ、拓海さんから甘い香りがしてきた。


何だろう?甘い、お花の匂い?



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