オトナな初恋
「あ、拓海さん。そんな恰好じゃ風邪引きますよ?…目のやり場に困るから服来てください。」


無駄な脂肪なんて一切ないお腹。広い肩、筋肉室な腕、私あの体に抱かれたんだ、と見ていると思い出してしまって恥ずかしくなる。


『…目のやり場に困ってるのは、俺も一緒なんだけど。もしかして、誘ってる?』


「え?」

拓海さんの視線が顔より少し下を見ている事に気付き、自分の体を見た。



「きゃあああッ!!」

慌てて布団に包まる。
お腹の痛みに気を取られて気付かなかった。上半身、素っ裸で、ずっと、拓海さんと話してた。


見られたッ!今電気付いてるのに…明るいところで、見られたッ!!!


下もまだ何も履いてない事に今更気付く。



「た、拓海さん!服着るから!向こうに行ってて下さい!!」


押し殺した笑いが聞こえてくる。




『はいはい。そこにあるスウェット、大きいかも知れないけど着て。ひとりで着れる?』


「―ッ着れますから!早く!」



ドアが閉まったのを聞いて、自分の下着を探し履く。
なんかまだ足の間に何か挟まってる感覚がする。


スウェットの上を着て、下を探す……がない。


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