オトナな初恋
顔に懸かっていた髪をそっと手で避けて頬を撫でる。


『本当に、初めてだったんだな…痛かったろ?』



「もう、大丈夫だから…気にしないで下さい?」



『なぁ。仕事以外は敬語もナシにして。なんか、敬語って、亜希が遠く感じる。』

「そんな事言われても、すぐにはムリです!」


『また使った。敬語使うたびになんか罰ゲーム与えるぞ?』


「そんな…」





少し考え込む拓海さん。




『決めた。二人きりで敬語使ったら、亜希から俺にキスね。』



「えぇ!?無理です!
あッ!」


『はい!1回キス決定。』



私からキス??
無理だよ!だって、初キスがついこないだっていう、超ビギナーだよ?




『亜希。ほら。早く。』


催促する拓海さん。


あたふたする私。






「しなくちゃ駄目?」


『駄目。』








「目、閉じててね?絶対だよ?」





観念した私は、拓海さんの肩に手を置いた。


.
< 148 / 362 >

この作品をシェア

pagetop