オトナな初恋
『俺は平気だってさっきも言ったろ?』


煮込みハンバーグもリビングへ持って行きながら答えてくれた。


「なんか意外。」

『何が?』


「拓海さん、こういう噂されるの凄く嫌がりそうだったから。」

エプロンを外して続けた。

「だから、私と噂になっても平気って言ってくれて嬉しい。
さあ、食べよ?」



席につこうとした時に、頭を撫でられ、拓海さんの胸の中に持ってかれる。


「拓海さん?」



『亜希となら、いいかなって思えるんだよ。俺が一番驚いてる。』


「拓海さん…」


『いっその事、口止めなんてさせなきゃ良かったのに。』


「どうして?」


『亜希に言い寄る馬鹿がいなくなるだろ?』



「…付き合う前だって、そんな事なかったもん。心配の必要なしだよ。」


少しぷぅっと頬を膨らませて言う。

ふん。どうせ、そんなおいしい経験したことないよだ。


『わかってないんだな…』

「何がよ?」


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