オトナな初恋
その日を境に、また少しの変化があった。


『桜井、ここ間違ってる。すぐに訂正して。』


「すみません。急いでやり直します。」


仕事中は何も変わらない。誰が見ても上司と部下。









「お昼行ってきます。」

『待て。俺も行くよ。』

お昼も一緒に食べたり、するようになった。


『ちょっと。…仕事中はイチャイチャしないでって言ったはずだけど。僕も一緒に行こうかな。』


『昼は勤務外だろ?それに一緒に昼に行くだけで、イチャついてなんかない。早く用意すれよ。』

関口主任に文句を返す拓海さん。


『二人一緒にいるだけで、端から見ればイチャついてるようにしか見えないよ。』

『勝手に言ってろ。』






お昼だけじゃない。帰りも一緒に帰る日が多くなった。前は、遅くまで働いていたとき、送ってもらったりしてただけだった。


お昼も帰りも、すれ違う人達が、驚いた表情で見たり、遠くから指までさされ何やら、話している姿。なんてのも見かける。



それでも拓海さんは、

『悪い事してるわけじゃない。堂々としてろ。』

って、一切気にしてない様だった。




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