オトナな初恋
本当にその通りだ。欲しい欲しいと泣いているだけの子供。今の私の事だ。



「奈緒…ごめ…なさい!私…馬鹿だ…拓海さんを責めるような事…っく…ごめん…うぅっ」




『謝る相手が違うでしょう?このままでいいの?』



「嫌っ!!まだ、間に…あうかな…ひっく…私の気持ち、拓海さんに伝えたい…っく…謝りたいよぉ!ああぁ!!」


大泣きしてしまった私を、抱きしめてくれた奈緒。




『きっと、大丈夫。早坂主任なら、わかってくれる。きつい事言ってごめんね?うだうだしてるからつい…』



鳴咽がひどくて言葉にならない。私は首を精一杯横にふった。
私を怒ってくれた奈緒。友達にきつい事いうのって、言う側も嫌だよね。

なのに私の為に…ありがとう奈緒。



「は、早…く、ひっく…拓海…さ…伝え…たい。」




『今日はやめといた方がいいと思うな。』




「…え!?」


なんで!?1分1秒が惜しいのに。


『だって、亜希の顔、本当にひどいんだもん。その顔で会いにいったら、早坂主任冷めちゃうかもよ?』



「ひ、ひどい…」



『ぷっ。私は亜希の為に言ってるの。まだ体調だって良くないんだし、体も目も休めて、元通りになってからね!』


.
< 219 / 362 >

この作品をシェア

pagetop