オトナな初恋
残された私達。



拓海さんが私の肩から手を放す。



「拓海さん。ごめんなさい…私がはっきり気持ちを伝えてれば良かったのに…
言わなくてもわかってくれてるって思ってたの。それなのに、私だけ拓海さんの気持ちを言葉で示して欲しいなんて。勝手だよね。」



私が拓海さんを傷つけた。好きの一言が欲しくて…自分からは何もしないで、求めてばかり。




『亜希だけじゃない。俺も…俺もそうだったんだ。亜希から俺を求めてくれる言葉が欲しくて。…情けねえな。健太親子に奪われるんじゃねえかって怖かったんだ。好きの一言にこだわっていたのは亜希より俺の方だった。
俺から言ってれば、亜希だってちゃんと返してくれてたのにな。それが出来なかった…ごめんな…』





「拓海さんのせいじゃないよ!悪いのは私だから、謝らないで。」



『いや、俺の方が悪い。』






「………」
『………』





『俺ら本当謝ってばかりだな』
「私達、出会った頃から謝ってばかりいるね」






同時に言ったお互いの言葉に目を見合わせ、笑ってしまった。






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