オトナな初恋
拓海さんも私がなんて言ったのかわかってない感じ。







『亜希は…堕ろしたいんじゃないの?』






「拓海さんがそう思ってたんじゃ…ないの?
私は産みたいと思ってる』






そういうと拓海さんは私から手を離し、ソファへと腰を落とした。





『なんだよ…亜希が迷惑かけないでひとりでなんとかするって言うから、俺に黙って堕ろしに行くんだと思ってた。』




良かった…と呟くように言う拓海さんに私は抱き着いた。







「産んでもいいの?」






私の背中に手を回して


『当たり前だろ。何で亜希は俺が堕ろして欲しいと思ってるなんて勘違いしてたわけ?』





「だって…子供は結婚してからしばらくしてからでいいって、昨日話してたじゃない。」









『それは理想論。そうであればいいな、ってだけで亜希が妊娠したんなら、話は別だよ。』






「昨日だって、検査薬見て慌てて帰ったし…」







『それは…ごめん。見つけて動揺したんだ。亜希がおかしかったのは、これが原因かってわかって、俺も早く何とかしなくちゃって。だから急いで帰ったんだ。』

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