オトナな初恋

人事異動

早坂主任とコピー室で逢ってからもう4日。
あれからまた姿を探す毎日に戻ったけど、1度もお目にかかれずにいる。


昼休みが終わり、自分のデスクに戻り仕事を再開しようとしてると、部長に会議室に呼ばれた。


…なんだろ??


促されるまま部長の真向かいの席に座る。


「…あの、私なにかミスでも?」


呼ばれる理由が分からず、心辺りがないけど一応そう聞いてみる。


『いいや、どちらかというと、その逆だ。桜井君の仕事ぶりに興味の持った者が、自分の補佐をして欲しいと要望がでてね。』


部長はにっこりと笑いながら続けてこう言う。


『つまり、人事異動だ。この時期に異例ではあるが、来年度までは待てないと急かされてね。』


「…それで、私はいつから、どの部署で、誰の補佐をするんです?」


肝心の事を言ってくれない部長に、問いかけた。


『来週から私の下で働いてもらう。正式な辞令は明日にでも通達される。』


部長ではない、その声の主に釘漬けになった。


だって…まさか…


『そう。桜井君には、総務部に行ってもらうことになった。今の仕事の引き継ぎは私の方で他の者に、割り当てておく。君は、総務部へ移動する準備を進めておくように。』


部長はそう言って立ち上がる。


そのまま会議室から出ていき、会議室には私と……


早坂主任の二人だけになった。

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