オトナな初恋
支度を終えて立ち上がる。




「痛たたた…」




腰を押さえながら言う私を見て、拓海さんは吹き出した。





『ああ。そういう事か。』





「!!そういう事か、じゃないでしょっ!こんな状態で出歩くなんて大丈夫か心配してるのに…馬鹿ぁ…」






せっかく楽しみだったのに。こんなノロノロした歩きじゃ、あっという間に日が暮れちゃう。





『わ、悪かったよ!!つい激しくなって…ごめんっ!泣くなよ…せっかくの化粧が落ちるだろ?』




「ま、まだ泣いてないもんっ!」







涙が目に溜まって流れる寸前だったけど、あわてて指で押さえる。









『心配しなくても、観光スポットは逃げないし、ゆっくり見て回ろう?レンタカーで行動するからその間、横になって休んでれば、少しずつ良くなっていくだろ?』






「でも、靴…ヒールだし…」




『じゃあ歩きやすい靴買ってから出よう?ここのホテルと直結で、デパートとかあるから、そこにまず行こう』





頷いて拓海さんの腕に手を回す。




「今日一日はこうしてて。私がよろけたら助けてね」





『わかってるよ。』




拓海さんは笑って私の頭を撫でた。





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