オトナな初恋
お兄ちゃんの横に並び歩く。





『悪かった。とあいつに伝えてくれ。』





「…自分で言えば?
私も怒鳴ってごめん…」





『いっておくが認めたわけじゃないから、話すつもりはない!』






もうっ!ほんとに頑固なんだから!!








家に着き、2人でご飯支度をする。




ピンポーンと音がして、誰かが訪ねて来た事を伝える。






「はい。どちらさまですか?」



インターフォンで尋ねた。







「間に合ってるので要りません。」





そういって切る私を見て、



『勧誘か?』


「うん。新聞の勧誘。」






ピンポーン









『しつこいな…直接俺が断ってきてやる!!』





こういう時、お兄ちゃんってすごく役に立つ。顔が恐い上、でかいからみんな、あっさり引き下がってくれるんだよね。






キッチンにまで聞こえてくる大きな声で

『しつこいぞっ!!要らないと言ってるだろっ!!』『きゃあああああッ!!』





…ん?女の人の悲鳴?
さっき来た人の声は男の人だったのに。


お兄ちゃんの後ろから覗いてみると、そこには真っ青な顔をして、腰をぬかした奈緒の姿があった。

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