オトナな初恋
『お兄さん元気?』
そう聞いてきたのは奈緒だった。
金曜の帰り、更衣室で会い着替えながら聞かれる。
「わからない。まともに会話してないから。」
『何?喧嘩したの!?』
喧嘩…激しく言い合えるならその方がよっぽどいい。
お兄ちゃんは明日か明後日には実家へ帰ってしまう。そうなったら、拓海さんとの件はうやむやになってしまう。
私はお兄ちゃんの様子を奈緒に話した。
『…無言の反対とかじゃないと思うな。』
着替え終えた奈緒はそんな事を言った。
「じゃあ、何?あんなお兄ちゃん初めてだから、わからない。」
『多分、お兄さんもわかってはいるのよ。亜希も早坂主任も本気だって事。認めなくちゃいけないって事も。
でも、わかっていても、なかなか気持ちを切り換えて祝福するまでは出来なくて、困ってるんじゃない?』
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