オトナな初恋
「拓海さん、もう無理よ。あとは私が頑張るから。2人のこれからの為なんだもん。負けたくない。お兄ちゃんにはちゃんと認めて欲しいの。」







そんな私を見てお酒を飲むことも、私に注ぎ足す事もしないお兄ちゃん。




仕方なく自分で注いで飲もうと一升瓶に手をのばした。











『…もういい。』







私の手を掴みお兄ちゃんが一升瓶を遠ざける。





『もう、わかったから…
俺の負けだ。』








え?
今なんて…?









『お前達が本気なのは良くわかった。…もう何も言わないから…好きにしろ。』





財布から1万円札を2、3枚取り出しテーブルに置き、立ち上がるお兄ちゃん。







『遅くなる前に帰って来いよ。』





そういって店を出ようとする。





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