オトナな初恋

「お兄ちゃん…さっき言ったこと本当？」





『何がだ？』





「私と拓海さんの事。好きにしていいって…」




『…ああ。男に二言はない』






「ありがとう！！」


首に手を回して背中から抱き着いた。



その時、私の手にぽたりと落ちる水滴。




「お兄ちゃん…泣…」



泣いているの？といいかけた私の腕に手を置き、首を横に振る奈緒。





見　た　ら　だ　め




口ﾊﾟｸで私に伝えてくれる。





もしかして、ずっと泣いてた？
あのお兄ちゃんが声も出さずに泣くなんて！






私は腕の力を強めてお兄ちゃんの背中にしがみつく。



「お兄ちゃん。私なら大丈夫だよ。拓海さんと絶対幸せになるから！心配しなくていいからね！」





背中越しに話しかけた。







肩の揺れるお兄ちゃん。




『ま、まだ嫁にも…行かないくせに…そ、んな台詞…はやいだろぉおおお…』







我慢の限界が来たのか、声を出してお兄ちゃんは家に着くまで泣き続けた。





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