オトナな初恋
そしてその日は本当にすぐにやって来た。





金曜の夜。遅くまで残業してて、拓海さんと一緒に職場を出てすぐに聞き慣れた大きな声。






「…お兄ちゃん…先週帰ったばかりでしょ?」



疲れた体にお兄ちゃんの大きな声は、更に疲労感を大きくさせる。




そんな私に構わずにお兄ちゃんは拓海さんに話しかける。





『疲れてるところ悪いけど、これから少し付き合え。行くぞ。』





言いたい事だけいって先へ歩いて行く。




「お兄ちゃん待って!拓海さん車だから!」





すでに私達から離れたところまで歩いてたお兄ちゃんは立ち止まり引き返してきて




『じゃあ早く車あるところまで連れて行け。』





どうしてこんなに自分勝手なのよ!




『どこへ行けばいいですか?』




車に乗り拓海さんが尋ねる




『…お前の家でいいよ。』




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