オトナな初恋
両手で、押し退けようとしてもびくともしない。




「んんッ…ふッ…」


く、苦しい。激し過ぎて息がうまく出来ない!




ようやく唇が離れる。けれど拓海さんは私の頬を両手で固定して、覗き込んだまま動かない。



『……からだよ。』




「え!?」



声が小さくて聞き取れない




『亜希と早く結婚したくなったからだよ!』

は?


『お前はまだ20歳だし、結婚なんて早過ぎるって思ってるかもしれないけど、俺は前にその指輪渡した時だって今だって!すぐにでも結婚したいと思ってたよ!』






だって…こないだの妊娠騒動の後話しあって、私がお金貯めてからって言ったら、笑って了承してくれたじゃない!





『余裕あるように見せたくて、亜希の好きにすればいいなんて言ったけど、俺は…』






「拓海さん?」


『俺…どうかしてるよな…亜希の家にお兄さんがいるってだけで、嫌な気持ちになるんだ。兄妹なんだからそんなの当たり前の事なのに……お兄さんだろうが、亜希が俺以外の男と2人でいるのが嫌だったんだ』




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