オトナな初恋

スピード婚

あっという間に年末は過ぎ、新年も明け、世間では卒業シーズン。南の地方では桜も咲いたとかTVのニュースで聞くような季節になった。


「こんな時期に振り袖着てたら卒業生みたいじゃない?」


『あら。袴じゃないんだし、いいんじゃない?』



私の着物の帯をきつく締めながら答えるお母さん。




「やっぱり着物やめれば良かった…着慣れてないから、苦しくて仕方ないよ。」





『今日1日くらい我慢しなさい。』







私と拓海さんは11月に結納を済ませて12月から一緒に住み始めるようになった。




というより住まざるを得ない状況になった。



1つは、その方が生活費も2人で折半できて貯金しやすくなるから。




もう1つの理由が今日私が着物なんて来ている原因でもある。





『ほら、出来た。さぁ、ヘアメイクしてもらいなさい。』




「は〜い。」





同じ階にあるサロンへ行き、髪をアップにしてもらう。



『ぴっちりした髪型よりも散らして今時の感じの方がいいですよね?』




ホットカーラーを慣れた手つきで扱うスタッフの人。




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