オトナな初恋
そんな時運転席のドアが開いた。

傘をさして運転席から降りて来た人は、これまたよく知ってる顔の人。


関口主任と同期の早坂拓海主任


関口主任同様、仕事の出来ると噂のある人。

ただ、関口主任とは違ってとにかく無愛想らしい。

女子社員とは仕事の話しかしないって噂は私のいる部署でも有名な話。
せっかく、まあまあ恰好良いのに勿体ないよね。なんて言う人もいた。


『ナンパかと思ってシカトしてただけだろう。』

と関口主任に言った。


『あ、そっか。イヤな思いさせちゃったかな?ごめんね?』

と今の説明で納得した関口主任は言った。


「いいえ!!勝手に勘違いしただけですから!!私の方こそ無視してしまってすみません!!」

そういって頭を下げたときだった。

『ていうか、こんなずぶ濡れの女、車に乗せる奴なんかいるわけないって、普通に考えてもわかるだろ?自惚れんな。』


頭上から雨なんか比べ物にならないくらい冷たい言葉が降って来た……



顔を上げるとすっっごく!イヤそうな顔をした早坂主任。


『大体お前なんで、声掛けてたわけ??』

『え?いや、濡れてて可哀相だから乗せてあげようかなと…』

『ふざけるな。俺の車だ。乗せるわけねーだろ。』

二人が話してるのをただ呆然と見てた。

『じゃあ、そういうわけだから。…おい聞いてるのか?』

はっとして早坂主任を見ると、自分の傘を私に渡そうとしてる。

< 6 / 362 >

この作品をシェア

pagetop