オトナな初恋
「花の刺繍が大人っぽくて、すごくいいと思う!」


『そう?じゃ、これ試着してみて。』


そう言って渡されたブラジャー。


「え?なんで私?奈緒が気に入ったんじゃないの?」

『私はこういう色着けないもん。それに下着はもう用意してあるし。
これからいつ、必要になるかわからないんだから、ほら、早く試着して!』


そのまま強引に試着室へ連れてかれた。


言われるがままに付けたブラジャー。
鏡越しに見える姿がいつかそういう時を、期待しているみたいで恥ずかしかった。


要らないって言ったのに、結局無理矢理買わされた上下セット。


ランジェリーショップの物とわかるその紙袋が恥ずかしくて、買った服の袋の中へと押し込んだ。


『さて、そろそろ帰ろうか。明日のために、パックして早く寝なくちゃ。』


「明日が楽しみだね。」


そう言って奈緒と別れた。

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