オトナな初恋
「え?」


咄嗟にその傘を受け取る。

それを確認した早坂主任は車の中へと戻った。


『乗せてあげられなくてごめんね?せめてこれ以上濡れないように、その傘使って。』


申しわけなさそうに言う関口主任。


「は、はい!お気遣いありがとうございます!」


そう答えると、関口主任は微笑んだ。


『おい、その傘俺のだからな。ちゃんと返しに来いよ!』


関口主任を押しのけて助手席側に身を乗り出し、早坂主任は私にむかって言い残し、そして車を発進させて行った。


車が見えなくなっても、私はその場に立ち尽くしていた。


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