オトナな初恋
あれから私は家に帰った。

途中から傘があったけど、すでにずぶ濡れだったからあまり意味がなかったと思う。


それでも傘を使っていたのは、傘を持っているのに使わないで濡れたまま歩くと、私が変人だと道行く人に思われそうだったから。


家のお風呂に浸かり、思え返すこと。それは…


関口主任。


想像してた通りすっごく素敵だったなぁ。
紳士っていうの?いくら同じ会社とはいえ、話した事も無い私へのあの気遣い!

しかも!!私の名前知ってたっ!!!


もしかして、もしかすると私の事気になってた……
なんて、あったりする??

きゃあ!!!そうだったらどうしようっ!!

湯舟をバチャバチャさせて興奮してた私。


“自惚れるな”


いきなり頭の中に響いた。体が石のように固まる。


そうだ。あの時は突然すぎて、言葉の意味なんて考えられなかったけど、確かにそう言われたんだ。


早坂主任に“自惚れるな”って。


見覚えの無い車に付いて来られたら、さすがに怖いと思うよね?


なのに、ヒドイ!!
お前なんて心配するような外見じゃねーだろ。
きっとこんな意味合いが含まれてたに違いない。
< 8 / 362 >

この作品をシェア

pagetop