オトナな初恋
その後は無言で、リビングへと連れていかれ、ソファへ座らされた。


ソファの目の前にあったテーブルに腰掛け、私と向かい合わせで座る早坂主任。

そして膝の上にあった私の両手をそっと握った。



『何があった?』


「………」


『どんな事聞いても怒らないから…』



「………」


『俺は…お前の口から聞いた事なら、受け止めてやるから…だから…。』



「…嫌いにならないでくれますか?」


ポタポタと涙が出てくる。


「関口主任に、好きって言われました。」


『うん。』


「全然気付かなくて…言われる前に関口主任の恋、応援するなんて言っちゃってたんです。」

『うん。』


「それで、あんな事に…」


『…あんな事?』


「どうして…気付かないんだって……どうしてって…それで…いきなり…ヒック…
キス…ヒック…うぅッごめ…な…さい!」


『…うん。』


いつの間にか、私は早坂主任の胸の中にいた。


温かい胸の中で、私は堪え切れずにたくさん泣いた。





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