オトナな初恋
『ずっと俺だけの秘密にしておこうと思ってた。
でも…あんな事があって、初めては俺がよかった。なんて言われたら…言うしかねーじゃん……
黙ってて悪かった…。
勝手に初めて奪って…ごめんな?』




思わず早坂主任に抱き着いた。背中へ手を回して、強く抱きしめる。


『怒ってないのか?』



何度も頷いた。


「言われるまで…わからなかったけど…でも…
ちゃんと覚えてたから…
あの時の感触……今、思い出せたから…
よかった…
嫌われなくて…うぅッ…ヒック…早坂主任が初めてで良かったッ!!」


『嫌いになんてならねーよ。』


強く抱きしめてくれる腕…

『もう泣くなよ…な?』


その声に、ゆっくり顔をあげた。


『ははッ。すげ泣き顔。真っ赤だぞ?目と鼻。』



「―ッ!!」


そうだ。私泣くと、すぐ目と鼻が赤くなるんだった!こんなブサイクな顔、見せられない!!


慌てて下を向こうとしたのに、先に両手で、顔を押さえられてしまう。





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