オトナな初恋
「〜恥ずかしいから…見ないでください!」


『いやだね。』


いやだね…って! ちょっとッ!!

「私がいやだ!!こんな顔見せてるなんてッ!早坂主任!手を離してくださいッ」


『そんなに離して欲しいか?…それなら…』


突然顔を寄せて耳元で、

『俺の名前、呼んで』




「…は?」


「お前に…亜希に名前で呼んで欲しいんだよ。」



亜希……初めて名前で…
桜井でも、お前でもない…亜希って。


『…俺の名前呼んでくれ。…亜希…』



全身が痺れてしまいそうな、甘い囁き。



「た、拓海さん…」



ゆっくりと耳元から離れて、私を見る。



「拓海さん…」



頼まれたわけでもないのに、もう一度…彼の名を呼んだ。



だって…すごく…嬉しそうな笑顔で…私を見てたから…
もっと喜んで欲しかったから…

だから…





『これから…職場以外では、名前で呼べよ?』



「はい…」



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