オトナな初恋
『…何か飲み物持ってくるから。』


離れて立ち上がる拓海さん。



私は離れて欲しくなくて、腕を掴んでしまった。



『亜希?どうした?』





聞かれてはっとした。



「ううん。何でもないです。」




『フッ。そのまま座ってて。』







やだ。私何考えてるの!
キスだって昨日が初めてだったくせに…
もっとして欲しいだなんて…




頭を思い切り振った。





『何してるんだ?』



そんな私を少しあきれた顔で見下ろしてる。



「な、何でもないです!!」




今度は隣に座った拓海さん。


あれ?飲み物ひとつ?  

「!?」


そのひとつのお茶を口に含んで、私に口移しで飲ませてきた。


『うまい?』


いたずらっ子のような顔で尋ねてくる。


「…ぬるくておいしくないです。」


うそ、本当はいきなりすぎてわからなかったけど、ね。



『そりゃそうか。』


笑う拓海さんの横顔を見て、私も笑った。
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