オトナな初恋
『そんなの淋しいうちに入るかっていうの!!』


「そ、うだよね…。」


『毎日顔見れるだけ、贅沢なはずよ。そうでしょ?私なんて、またしばらくは逢えないっていうのに!電話が来ない位何よ!我慢しなさい!』


「ご、ごめん。そうだね。奈緒の辛さに比べれば、私なんて、まだ甘かったね。」


『わかれば、いいのよ。』


ドンっと、ジョッキグラスをテーブルに置いた。


仕事帰り、奈緒とご飯を食べに行くことになり、適当な居酒屋に入った。


拓海さんと順調か聞かれて、ちょっと愚痴ってしまった。


でも…彼となかなか逢えない奈緒にする話じゃなかったよね。ほんとにごめんね…



『なんて、ごめん。八つ当たりしちゃった……淋しいなら、淋しいって伝えなきゃ。言葉にしなくちゃ、わからないものよ?』


「うん。でも、いいの。奈緒に話して少しラクになった。」


『良くないよ!』


「奈緒?」


『亜希には、今の私の気持ち、味合わせたくないもの。』




「…どういう…事?」




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