雪の音
私の気持ち………。
なぜ、今日なのか。
私たちが住んでいる地域では雪など滅多に降らないと言うのに、その日は昨夜から降り続けた雪が辺り一面に雪化粧を作っていた。
本当に、めずらしくて積もるなんてこと3年に1回ぐらいのペースしかない。
それなのに………。
私は教室の窓際に手をかけ窓から外を見る。
校庭では男子の何人かが年甲斐もなく、雪合戦にいそしんでいた。
その中の1人に私の視線は釘付けになる。
白い息を吐き、鼻を赤くしながら、笑いあっているその姿は私にはとてもまぶしくて、胸をときめかせる。
「あれ~? 凛(りん)、まだ残ってたの?」
「奈々(なな)ちゃん。奈々ちゃんこそどうして?」
HRが終了してから、もう1時間も経っている。
学校に残っている生徒など3年生ではほとんどいないはず。
それなのに………。
「あたしはわからないとこ先生に聞きに言ってたの」
「あ………。そっか」
「もう、追い込み入ってんだもん。気が気じゃないよ。明日からも補講受けに来なきゃいけないし………」
私は奈々ちゃんの愚痴に笑うしかない。
奈々ちゃんは、国公立の大学を受けるために今からセンター試験が待っている。
推薦で進学が決まっている私としては、下手なことは言えないため、ただ笑ってるしかない。
奈々ちゃんは私の隣に立ち、思いため息をつきながら、外を見た。
「あ~~!笹野(ささの)たち、あんなところで遊んで~。うらやましいなぁ。あいつら全員進路決まってんだよね。明日からの休みだって別に勉強する必要もないし、遊べるんだもんね」