雪の音


「―――ごめん…。

俺はそんなに器用じゃないから、そんな風に付き合うことはできない」


「ど、どうして……」


「ごめん」





 沈黙がその場に流れる。


 なんとも言えない空気が、見えない位置に居る私のところにまで伝わってきているように感じた。











「そ、そんなこと言って! 

もし、あたしのこと後で好きになって後悔しても遅いんだからね!」





 す、すごい…。


 ふられた相手にそこまで強気の発言ができるなんて、誰かは知らないけど、きっとすごく自分に自信があるんだろうな………。


 私なんて、告白する勇気さえも湧かないもの。


「………ククッ…。

わかった…。

その時は、俺のほうから告白するよ」


「その言葉、忘れないでよね!」





 それだけ言うと、バタバタという足音が聞こえる。


 どうやら、告白は済み、去っていったみたい。





 安心からフゥ…と一息吐いてから、私は下駄箱にずっと持ったままになっていた上靴を入れた。











「盗み聞き?」











 すぐ傍で聞こえた声に、私の体はビクッと飛び跳ねた。











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