雪の音
「え、あ、えと…、あの………」
しどろもどろになりながら、私は俯いたまま頭の中を駆け巡らせる。
どうやら、先ほどの足音は告白した子だけのもので、された相手のほうはまだ残っていたらしい。
俯いたままの私の視線には、相手の靴だけが鮮明に映っていた。
ど、どうしよう……。
告白の現場を、ばっちりと聞いているなんて、すごく最低なことだ。
いくら、わざとじゃなく偶然のことだったとしても、言い訳のしようもない。
私はグッと手を握りしめると、ガバッと頭を下げた。
「す、すみませんでした!
あ、あの、私……」
「ハハッ。冗談だよ」
こうなった経緯を話さなくちゃと思っていたのに、言う前に相手が先に笑い出した。
その突然のことに、拍子抜けした私は思わず顔を上げた。
「あ・・・」
私の目の前に笑いながら立っている彼は、私にとって見覚えのある人物だった。