雪の音





 私はジッと息を潜める。


 これで、ますます出て行きづらくなってしまった。


 ど、どうしよう………。





 まるで、銅像のように私は上靴を片手に持ったまま、固まっていた。


「俺、君のこと全然知らないし………。名前だって……」





 そ、そうか…。


 名前も知らないぐらいの接点の人なら、そりゃ仕方ないかもね。


 全くの無関係でありながら、なぜか私はふむふむと頷く。





 って!


 これじゃ、完璧聞いてるじゃない!


 聞いちゃダメ、聞いちゃダメ。


 自分の中で一生懸命に言い聞かせるけど、そう思っていても相手が話してしまうと耳にはスッと入ってきてしまう。


 うぅ~…。


 どうしよう~…。


 一番いいのは、この場をさっさと離れることだけど、それができない状態。


「そんなの! 

付き合ってから知る人もいるじゃない!」





 うぉ!?





 いろいろと考えこんでいる間に、相手の子は告白相手に食い下がっている。


 どうやら、押しの強い子みたい………。


「あたしのこと、これから知ってくれたらいいから!」





 そこまで言われたら、相手は受けるかな…とも思った。


 だけど、返事は『NO』だった。





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