幼なじみ物語2
「悟」

「なに?」


少し怒ったような声で返事をしてしまった。

だけど大輔は気にしていないようだった。


「俺、碧依の気持ちが見えねーんだよ」

「碧依の気持ちが、見えない?」


俺がそう言うと、大輔は頷いた。


「俺がいくら碧依を想ってても、碧依の気持ちが分かんねえ。不安でたまらねーんだよ」


そう言って下を向く大輔。

俺は何も言えなかった。


「逃げだってことは分かってる。けど俺はこうするしかないって思ったから」


そう言う大輔の顔には、もう迷いはなかった。

俺はいてもたってもいられず、家を飛び出した。




< 147 / 163 >

この作品をシェア

pagetop