幼なじみ物語2
俺はドアを閉めると、元いた場所に腰をおろした。


「しっかしお前ら似てんなー」


びっくりしながら肇が言った。


「そう?まぁ一卵性だしな」

「でもやっぱり碧依ちゃん可愛いね。ねっ、若歌」


碧依を見て感動した七海が若歌に同意を求めた。
しかし、若歌は何も言わず、どこか不機嫌だった。


「若歌?」


心配した七海が声をかけた。

若歌は荷物を持って立ち上がると言った。


「あたし、帰るっ」


そう言うとそのまま家を出て行ってしまった。


「若歌!?」


みんながびっくりしながら若歌を追いかけようとしたが、陸上部の若歌に追いつけるわけもなく、すぐに諦めた。


「なんだ?あいつ‥」


俺は不思議に思いながら呟いた。
みんなも首を傾げるだけ。

この時、誰も若歌の気持ちを知らなかった。




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