二人だけの秘密
カツ、カツ、カツ……。

午後8時、足音が閑静なマンションに響く。


205号室で私の足は止まり、右手に持っていたスーパーの袋を左手に持ち替えて、空いた右手で制服のプリーツスカートのポケットから鍵を出し、鍵穴に差し込んだ。


扉を開けると、漆黒の闇――とまでは言わないけれど、暗くて6月ということもあってか、少しじめっとしている。


私は革靴を脱いで玄関からまっすぐに伸びる廊下の奥へ進んだ。



「よいしょっと」



私はパンパンに膨らんだスクールバッグとスーパーの袋をテーブルに置いて、ソファーに寝転んだ。



「つっかれた~」



しばらくゴロゴロして、いつものように仏壇に手を合わせるため、和室に向かった。


私の両親は2年前の脱線事故で他界した。


それからこの閑散としたマンションの一室に私はひとりで住んでいる。


障子を開けると、



「っ―――?!」



誰かが畳の真ん中で正座していた。


後ろ姿で顔は見えないが。


いきなりのことで声が出ない私。


髪の毛が短い…。


男?!


泥棒?!


私の頭の中はパニック寸前である。


男はゆっくり私の方へ振り向いた。























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