【キセコン】とある殺し屋の一日
「あっほら! お稲荷さん!」
しばらく歩いて、不意に藍が与一の袖を引っ張った。
嬉しそうに指差すほうを見れば、確かにそれらしいものは見えるが・・・・・・。
「食い物の屋台ってのは、わかりますが・・・・・・。稲荷かまでは、わかりませんよ」
「お稲荷さんだもんっ」
与一も、目が悪いわけではない。
むしろ普通より良いほうだ。
その視力をもってしても、何の屋台かはわからないのだが。
藍は自信満々に、ぐいぐいと与一を引っ張って、件(くだん)の屋台に向かって歩いていく。
「・・・・・・ほんとだ」
近づいてみると、確かに稲荷寿司の屋台である。
「うふふ。お稲荷さんなら、どんな離れてたって、わかるんだから~」
いそいそと屋台に駆け寄り、稲荷を注文する。
誇張だとは思うのだが、そうとも思えない確実さである。
---わからん女だよな、藍さんは---
言うこと成す事、常人離れしている。
見かけも然り。
しかしそれは、意外な確実性をも孕んでいるのだ。
全てが曖昧で、全てが確実。
しばらく歩いて、不意に藍が与一の袖を引っ張った。
嬉しそうに指差すほうを見れば、確かにそれらしいものは見えるが・・・・・・。
「食い物の屋台ってのは、わかりますが・・・・・・。稲荷かまでは、わかりませんよ」
「お稲荷さんだもんっ」
与一も、目が悪いわけではない。
むしろ普通より良いほうだ。
その視力をもってしても、何の屋台かはわからないのだが。
藍は自信満々に、ぐいぐいと与一を引っ張って、件(くだん)の屋台に向かって歩いていく。
「・・・・・・ほんとだ」
近づいてみると、確かに稲荷寿司の屋台である。
「うふふ。お稲荷さんなら、どんな離れてたって、わかるんだから~」
いそいそと屋台に駆け寄り、稲荷を注文する。
誇張だとは思うのだが、そうとも思えない確実さである。
---わからん女だよな、藍さんは---
言うこと成す事、常人離れしている。
見かけも然り。
しかしそれは、意外な確実性をも孕んでいるのだ。
全てが曖昧で、全てが確実。