悲しみの果てに
「いない・・・」
屋上も教室も心当たりのある所は捜した。
あたしは中庭のベンチに座り、手の中のメロンパンを見つめる。
「もー・・・食べちゃおっかな・・・」
「――それはマズいだろ」
「えっ!?」
「返せっ」
あたしの手からメロンパンを奪ったのは・・・
「さっきの柄の悪い男!!」
「・・・てめぇ・・・なんちゅーあだ名付けてんだよ」
「あ・・・すいません・・・」
「やっぱウゼー女。」
男はメロンパンを頬張りながらそう呟く。
「ん?・・・ギター?」
「あ?ああ。」
男の肩にはギターのソフトケースがかかっている。
「あなたが弾くの?」
「・・・んだよ。ただのチャランポランかと思ったかよ」
「ううん。音楽やる人に悪い人はいないよ」
「なんでそう思うんだよ?」
「だって、あたしもギター弾くもん」
「ふっ・・・なんだよそれ」
そして男はあたしを“変な女”と言った。