悲しみの果てに
「バンドでもやってるの?」
「ああ。」
「へぇ・・・今度行かせてよ」
「なんでだよ。ダチでもないのに」
「何言ってんの?お詫びに見に行くんだよ」
「はぁ?」
「ぶつかったお詫び。わざわざ見に行ってあげるの。感謝して?」
「・・・お前、ほんっとに変な女だな」
「最高の褒め言葉。」
あたしは残ったメロンパンをベンチに置き、男に近づく。
「・・・んだよ」
「見せてよ。ギター。」
「は?」
「いいから。」
あたしは半ば強引にソフトケースを開かせた。
「レスポール・・・」
「いいだろ?まるっきりのギブソンだけど」
「しかも黒じゃん・・・いーなぁ」
「お前は?」
「待ってて!」
あたしは昇降口に置いてあったハードケースを持ってくる。