悲しみの果てに
「エレアコか。」
「あたしは全部弾くよ。エレアコもアコギもエレキも。」
「お前はバンドやってんの?」
「ううん。中学ん時はやってたけど、今はやってない。」
「へぇ・・・」
あたしはハイカットされた部分を愛しそうに撫でる。
「弾けよ」
「え?」
「弾いて、歌え。お前の声、きっとボーカルもやってた声だ」
「・・・分かるなんて、あなた相当な音楽バカだね」
あたしは少し笑うと自分で作った歌を弾き語りした。
「お前・・・」
「どうだった?」
「俺のバンドにはいらねぇか?」
「え?」
「お前の声・・・俺、好きだ」
「何言って・・・」
「頼む。・・・明日、来い」
「どこに?」
「ライブハウスACE。」
「どうして・・・」
「俺のバンドのライブがある。・・・前座だけど」
あたしはただ真っすぐな瞳を見つめることしかできなかった。