悲しみの果てに
「バンドをやめたきっかけは、メンバーとの温度差だったの。
だからいつからかあたしまで諦めるようになって。
中学卒業したらもう解散って、誰も口にしなかったけど・・・
暗黙の了解ってヤツ。・・・誰ひとりとして反対する人はいなかった」
「・・・」
やけに涼しくて、やけに静かで。
やけに月が輝いてた。
「あたしもそうだった。“ただの音楽好き”でいようと思った。
・・・でもできなかった。あたしには音楽しかない。
そう・・・気付いて・・・今までの、今日までのブランクがどう響いて・・・
あたしを狂わせても、諦めないんだって、あなたの歌を聴いて思った」
あたしは空を見上げる。
小さな星と、三日月が照っていた。
「あたしはきっと生きてる間・・・音楽に傷ついて、傷つけて・・・
――――それでも音楽を愛していくと思うの」
「・・・ああ」
「あなたに気付かされたことが・・・悔しかった。・・・でもね」
「ん?」
「だからこそ、あなたと闘いたいの。あなたのバンドに、入りたい」
今は小さな星が
きっといつか名前もついて
誰かと共に輝いて
星座と呼ばれるように
あたしもいつか輝いて
―――星になれますように。