超短編 『招待状』 最後のディナー編
土曜日。

俺は渋めのイタリアン・スーツに派手めのタイをした。


時間より少し前にホテルに着いた。

会場が分からなかったので、フロントでたずねた。

「長倉様ですね。承っております。只今ご案内を」

そういうとスタッフの一人が、「こちらです」と言った。

エレベーターに乗ると、スタッフは鍵を出して、通常は止まらない最上階のボタンを押せるようにした。

「最上階ですか」

「はい、当ホテル最高のスーパーロイヤルスィートルームへご案内します」

「・・・」
俺は言葉が出なかった。

一泊確か250万とかいう幻のスィートルームだ。
テレビでも紹介されたことがある。

「なんで、、、」
「長倉様は選ばれましたから」
「選ばれた?」

次の疑問を口にしようとしたが、ちょうどエレベーターのドアが開いた。

俺がエレベーターを降りると、スタッフはそのままエレベーターの中からお辞儀をした。

「それでは失礼します」
ドアが閉まった。
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